鼠丼(ねずみどんぶり)

天に声あり、丼の中に住む鼠をして語らしむ

<841> 251008 週末の朝、目玉焼きを丁寧に焼く理由


 毎度!ねずみだ。

 子供のいない我が家にとって、週末の朝は静かである。二人で朝食を作ってゆっくりと食べる、とても大切な時間。

 妻がサラダを盛りつけパンを焼く。私はコーヒーを淹れそして目玉焼きを焼く。丁寧に、時間をたっぷりかけて。
 平日の朝食はとても慌ただしく「おなかを一杯にして出勤する」のが目的なので仕方がないが、週末の朝食だけはゆっくりと時間をかけて用意したい。

 粉のコーヒーを計って、沸騰後少し経ったお湯を少しずつ回しながら注ぐ。1回目に注いだ後、粉を蒸らすために多少時間をおいて。本当は粉ではなく豆を挽きたいのだが、ブレンドのコーヒーで美味しい物が何種類も店に並んでいるのでそちらを使っている。
 冬場はあらかじめマグカップにお湯を少し注いで温める。そうしないとカップに注いだコーヒーが冷めてしまう。

 卵は目玉焼きにするのが我が家の暗黙の了解である。
 小さめのフライパンにオリーブオイルを小さじ1杯、十分になじませる。卵を2個。フライパンを傾けることで卵を端に寄せ白身が厚めになるように。食べた際の食感が大事だ。
 弱火でじっくり、黄身は絶対に硬くならないよう注意。白身がふわふわ、黄身は少し火が入るか入らないかの状態で皿に盛りつける。粉ガーリックを少し、ペッパーミルで挽いた黒コショウをふりかけ、さらにその上に刻んだ小葱を乗せる。
 妻は濃い目の味が好きなので、ケチャップとマヨネーズでオーロラソースを追加する。

 このルーチンは結婚以降ずっと変わっていない。こんな平穏な週末があと何回迎えられるのだろう、と時々考えることがある。考え、同時に不安になる。

 1年が52週、土日2回、あと20年続けられると仮定しても2,000回程度しか残っていない。永遠に続くはずがないのは分かっている。
 二人で過ごす週末が、どんなに頑張ってもあと2,000回。愕然とする。
 二人とも健康で食卓を囲むことができなくなる可能性も多分にあるので、実際は考えている以上に少ないだろう。ある日唐突に「その日」が訪れるかもしれない。

 だから。

 だから私は週末の朝、「今まで食べた中で一番おいしい目玉焼きを焼いて妻と食べる」ために、ていねいに目玉焼きを焼く。
 一日でも長く二人が健康でいられるように、と願いながら目玉焼きをていねいに焼く。二人で「美味しいね。」と笑いながら言いあえるように。

 じゃ、また。