鼠丼(ねずみどんぶり)

天に声あり、丼の中に住む鼠をして語らしむ

<863> 251120 非モテは新しい「武器」で居場所を作るしかない


 毎度!ねずみだ。

 中学生の頃の話。
 往々にして世の中の非モテ中学生がそうであるように、モテたかった。凄くモテたかった。飯を食わなくても生きていけたが、それよりもモテたかった。いや、やっぱり飯は食っておこう。生きていけない。
 もともとモテた奴には分からない、このどす黒いネガティブな願いは非モテで日の当たらない学校生活を送っていたねずみ少年をフォースの暗黒面に引きずり込むのには十分で。

 暗い目をしたねずみ少年は学生服に隠し持っていた暗黒面の力をフル活用し、どうすればモテるのかと朝も昼も夜も朝も昼も晩も深夜も考えた。勉強する間も惜しんで、あれ、寝る間も惜しんで、かな?とにかくなんか考えた。うん、何はともあれ考えたんだよ。で、分析する。

 モテる奴の特徴とポイント数を考えてみよう。
①「かっこいい人」100P うーん、ダメだこりゃ。
②「背が高い人」10P うーん、これも絶望的にダメ。
③「運動ができる人」10P 半分くらいかな。
④「勉強ができる人」10P よし、これならなんか頑張ればいけそう。
 まあ、こんなところだ。全部持っている奴は130P。ええと、計算合っているよね?この中で①の占める比重は物凄く高く、ほぼこれで決まり。あとは「科学と学習」の「学習」のほうの付録程度の重要度うーんよくわからない例えだ。

 冷静な分析によると、ねずみ少年の現在持っているポイントは15Pくらい。やはり①のエレメントを持たざる者は日の目を見る事はないのか。

 と言うわけでねずみ君の暗い中学生時代を打開するには、やはり引き続き暗黒面の力を駆使するしかないと決心する。
 ここで腹黒いねずみ少年は自分が持っていない「かっこいい人」ポイントを補完するべく、新たなる5thエレメントを探す。
 そうして見つけたのが「面白い人」というエレメント。関西から引っ越してきて面白い事を言う奴がいたのだが、見事東京デビューに成功している。関西弁で喋る事がいちいち面白い。
「面白い人」という5Thエレメントは比重としては20Pくらいと想定できる。すでに持っているエレメントと合わせると35P程度。うーん、なんとかスライムくらいには勝てそう。

 そこでねずみ少年は「笑い」の仕組みについて考える。ラジオの深夜番組を聞き、ネタをノートに書きながら「何が何故面白いのか」を分析する。特に1981年1月から始まった「ビートたけしのオールナイトニッポン」はネタの宝庫で、木曜の深夜1時から3時まで布団の中でメモしたり、放送を録音して聞き直す程だった。この頃「はがき職人」なる人種がいる事を知り、世の中にはシロウトながらツワモノがいるのだなあ、と感心する。

 さらに関西の「笑い」に関しても勉強。この頃「天丼」(天丼にはエビの天ぷらが二匹乗っている事から。二度のネタ振りに同じボケをかます高等技術)、「ノリツッコミ」(一度相手のボケにのっかり、それに自分でつっこむ)などといった笑いのテクニックをノートに書き「どのように使えば面白いのか」と解析する。おそるべし中学2年生。そのネガティブなパワーをもっとポジティブな方向に使う、という思考は働かなかったのか。うん、なかったんだね。

 勉強と同じで、法則を見つけると「笑い」に対する理解が深まる。方程式みたいなものだ。あっと言う間にCampusノートはネタで一杯になった。少しして女の子との会話に恐る恐る「ボケ」や「ツッコミ」を入れたりして。だが、重要なのはここで。
 女の子にねずみ君を「面白い」と思わせるのが狙いではない、という事もすでに学習していた。

 女の子は、自分が喋ったネタで周囲が笑ってくれることが楽しいのであって、「もしかしたら、私って今面白い事言ったの?え?私、ウケてる?」と感じると、なんか嬉しいらしい。すかさず「〇〇さん、って面白いね。」なんて褒めたら天にも昇ってしまう。
 初めは「ボケ」や「ツッコミ」をしてくれる非モテのねずみのことなんか眼中にないのに、展開によっては「なんかねずみ君と喋っていると楽しいかも。」と思ってくれたり。免疫のないピュアな子ほどそんな風に思ってくれたみたい。

 子供の頃は子供の頃なりに、大多数の子供たちが「生きにくい」だったり「居場所が無い」だったり、はたまた「自分なんか居てもいなくても」なんて悩んでいる。大人になると、仕事やら毎日の生活だったりに忙殺され、自分の子供時代を忘れて「そんな事で悩むな」なんて言うけど、クソまみれの子供社会に生きなければならない子供たちにとっては死活問題。
 クソ溜めみたいな子供世界。周囲はクソみたいな連中で溢れかえっていて、彼らはつるんで他人をいじめたり、貶めたり、そうすることでしか危うい自分のアイデンティティを保てない。クソ可哀そうなクソ野郎だが、そういう連中が次から次へと現れる。本当に反吐が出るような暗黒の時代だった。
 そんなクソ溜めみたいな狭い世界で生き抜くために、ねずみ少年は無い知恵を絞って「自分の居場所」を作ろうと彼なりに足掻いた。努力の結果「勉強できる人」や「面白い人」というエレメントを手に入れる。そのエレメントは後になっても役立つ事になる。
 非モテはそういう「武器」で自分の居場所を作るしかない。がんばれ、ねずみ少年。(そのうち次回に続く!)

 じゃ、また。